BCGワクチン投与者・非投与者で、新型コロナ発症率・入院率に有意差無し、という研究結果。約3年前、BCGの効果を強調して専門家をバカにしていた池田信夫を信じてはいけない。

基礎疾患を抱える高齢者を対象とした以下の研究において、BCG投与者・プラセボ投与者で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症・入院、および他の呼吸器感染症の発症に有意差なし、という結果が出ています。

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以下、概要のDeepL翻訳です。

目的
1つ以上の合併症を有する高齢者において、Bacillus Calmette-Guérin(BCG)ワクチン接種がCOVID-19およびその他の呼吸器感染症(RTI)の発症を減少させるかどうかを検証する。

方法
1つ以上の基礎疾患を有し、BCG接種の禁忌がない60歳以上の地域在住成人を、BCGまたはプラセボ接種に1対1で無作為に割り付け、6カ月間追跡調査した。主要評価項目は、自己申告による、検査で確認されたCOVID-19の発症率とした。副次的評価項目は、COVID-19による入院と臨床的に関連するRTI(すなわち、医療介入を必要とするCOVID-19を含むがこれに限定されないRTI)でした。COVID-19および臨床的に関連するRTIのエピソードは判定された。発生率は、競合事象を考慮したFine-Gray回帰を使用して比較された。

結果
年齢中央値 69 歳(四分位範囲 65~74),併存疾患中央値 2(四分位範囲 1~3)の計 6112 例を,BCG(n = 3058)またはプラセボ(n = 3054)の接種に無作為に割り付けた.COVID-19 感染は,BCG 受給者 129 例が報告したのに対し,プラセボ受給者は 115 例であった[ハザード比(HR),1.12;95% CI,0.87-1.44 ].COVID-19に関連した入院は、BCGレシピエント18人およびプラセボレシピエント21人に発生した(HR、0.86;95%CI、0.46-1.61)。試験期間中、BCG投与者はプラセボ投与者18名と比較して13名死亡し(HR, 0.71; 95% CI, 0.35-1.43) そのうち11名(35%)の死亡がCOVID-19関連であり、プラセボ群6名とBCG群5名でした。
臨床的に関連するRTIは、BCG群66名、プラセボ群72名から報告された(HR, 0.92; 95% CI, 0.66-1.28).

考察
BCGワクチン接種は、併存疾患を持つ高齢者をCOVID-19、COVID-19入院、または臨床的に関連するRTIから保護しません。

https://www.clinicalmicrobiologyandinfection.com/article/S1198-743X(23)00044-7/fulltext

新型コロナが蔓延しはじめた約3年前、2020年に「BCGワクチン接種が新型コロナに有効なのではないか」という説が広まりました。しかし、上記の研究を含む、複数の研究で有効性は確認されておらず、少なくとも「BCGワクチンの接種が、大幅に新型コロナ感染者・死者を減らす効果は無い」というのが、現時点での結論でしょう。

しかし、約3年前、池田信夫のような門外漢の”インフルエンサー”が、「BCGワクチンがコロナを防いでいた」「日本人には集団免疫がある」などという何の根拠も無いデマを流していました。このことは絶対に忘れてはいけません。

許し難いのは、「BCGの効果を認めると、専門家会議のやってきた接触削減やクラスター対策が『空振り』だということになるから無視している」などという、陰謀論めいた主張で尾身茂先生や西浦博先生、その他、多くの医師の先生方などの専門家を侮辱していたことです。

2020年時点で、「BCGワクチンが新型コロナに有効」であるかどうかは、何とも言えない状態でした。今でも、「まったく効果が無い」と証明されたわけではありません。しかし、「効果がある」と言えない状態で、池田信夫が「日本で感染者が少ないのはBCGを打っているから。緊急事態宣言にも『新しい生活様式』にも意味は無い」といった主張を行うのは、絶対に間違っています。医療に関して間違ったことを言えば、人命に関わります。
数十万ものフォロワーを抱える人物が、そのようなことをツイートしたのだから、影響された人間は少なからずいるでしょう。こうしたデマの積み重ねが、ワクチンの無かった2020~2021年初頭にかけて新型コロナを余計に蔓延させ、感染者を増やし、人命を奪ったことは確実だと思われます。つまり、池田信夫は「命を奪う危険なデマ」を流した、ということです。

結局、池田信夫のやっていることは、「占い師」や「カルト指導者」が「予言」をするようなものです。当たれば「やっぱり自分の言う通りだった」と主張し、外れたら何も言いません。その影響で、どれだけ人が病に苦しみ、命を落としても責任を負うことはありません。このような人物の言うことは、絶対に信じるべきではありません。

新型コロナは、ネットやテレビで人気の「論客」の中に、いかに無責任な者が多いかを明らかにしたと思います。
池田信夫以外にも、例を挙げればきりがありませんが、テレビなどで広く顔が知られている京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡は、トンデモ医師として有名な内海聡、トンデモ学者として異常な主張ばかりしている武田邦彦らと共に、新型コロナ対策に反対する「共同宣言」を出し、新型コロナワクチンについても否定的な言説を繰り返すなど、「人の命を奪う危険なデマ」を流していました。

https://www.werise.tokyo/declaration/ より

作家・ジャーナリストの門田隆将も、新型コロナ感染対策の多くを否定したり、反コロナワクチンを訴える医師・長尾和宏の「イベルメクチンが新型コロナに効く」という主張を広めるなど、人の命を奪う主張を繰り返してきました。

他にも多数いますが、こうした一定数のファンを抱える「論客」「インフルエンサー」の無責任な主張は、「新型コロナは人工ウイルスだ!5Gが原因だ!」などといった、「明らかに異常なトンデモ」ではない分、より多くの人の行動に影響を与えたことは間違いないでしょう。「新型コロナで広まった陰謀論」というと、どうしても面白おかしい荒唐無稽なものに注目が集まりがちですが、こうした人気の「論客」も、やはり新型コロナ以前から「陰謀論」に類する主張をしています。なので、彼らの発言は信じるべきではありません。彼らが「人の命を奪うコロナデマ」を流していたことは、広く注意喚起し続ける必要があると思います。

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