日本小児科学会が、「生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を公開しています。
生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY
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- 小児患者数の急増に伴い、以前は少数であった重症例と死亡例が増加しています。
- 成人と比較して小児の呼吸不全例は比較的まれですが、オミクロン株流行以降は小児に特有な疾患であるクループ症候群、熱性けいれんを合併する児が増加し、また、脳症、心筋炎などの重症例も報告されています。
- 生後6か月以上5歳未満の小児におけるワクチンの有効性は、オミクロン株BA.2流行期における発症予防効果について生後6か月~23か月児で75.8%、2~4歳児で71.8%と報告されました。流行株によっては有効性が低下する可能性はありますが、これまでの他の年齢におけるワクチンの有効性の知見からは、重症化予防効果は発症予防効果を上回ることが期待されます。
- 生後6か月以上5歳未満の小児におけるワクチンの安全性については、治験で観察された有害事象はプラセボ群と同等で、その後の米国における調査でも重篤な有害事象はまれと報告されています。なお、接種後数日以内に胸痛、息切れ(呼吸困難)、動悸、むくみなどの心筋炎・心膜炎を疑う症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診し、新型コロナワクチンを受けたことを伝えるよう指導してください。
幼児が新型コロナに感染すると、急速に悪化して重篤化、死に至ることがあります。「子供だからコロナに感染しても大丈夫」ということは決してなく、予防するに越したことはありません。
5歳未満の小児に対する新型コロナワクチンの接種は副反応も少なく、明らかにメリットが大きいと言えます。幼児自身ではマスク着用などの感染対策が難しいからこそ、ワクチンを接種すべきです。
しかし、5歳以上12歳未満の小児ですら接種率が20%程度と、他の年代に比べて伸び悩んでいる状況です。多くの時間を学校や保育施設で過ごす上、新型コロナ後遺症になれば人生に大きな影響が出る世代だからこそ、ワクチンを接種して予防すべきなのですが…「子供に打たせるのは不安」という親が多いようです。このような状況なので、残念ながら5歳未満に対する接種率も伸びないと予想されます。将来、子供へのワクチン接種率の低さにより、後遺症や病気に苦しむ子供が増えた、といった結果が出なければいいのですが。
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