新型コロナワクチン接種後の免疫応答に年齢差や個人差、高齢者ほど早く減少【京都大学iPS細胞研究所】

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の濵﨑洋子教授らの研究グループが、 新型コロナワクチンの免疫応答を解析し、高齢者では免疫応答の立ち上がりが遅い傾向があること、個人差が大きいことなどを明らかにしたとのことです。高齢者ほど、ワクチン接種後の副反応が軽く済む傾向があることは従来から知られていますが、ヘルパーT細胞応答の立ち上がりが遅い人ほど、副反応の頻度も低いとのこと。

京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)
京都大学iPS細胞研究所では、iPS細胞作製技術を用いて創薬、新しい治療法の開発、病気の原因の解明や再生医療への応用を実現するための研究を行っています。

この研究は1・2回目を対象としたものですが、ブースター接種した後も同様の傾向があるのかも気になるところです。高齢者の多くが昨年11月~12月に5回目を接種しているので、春ごろには再び感染が広がるかもしれません。アメリカで広がりつつある、さらに感染力の強いXBB.1.5が日本で広がるのも1~2か月後とみられるので、感染者が減少してもマスクや3密回避といった対策の継続は必要でしょう。高齢化率が低く、未感染者が多い日本でこれらの対策を緩めれば、重症者、死者が急増することも考えられます。

とはいえ、死者の大半が高齢者という状況では、行動制限までかけることにならないでしょう。他の主要国では既に、多くの死者を出しつつ大多数がコロナに感染済みで、「コロナに弱い人」は死んでおり、もう死者が急増するという状況にはありません。中国すら「ゼロコロナ政策」をやめ、死者を出しつつ一気にコロナを蔓延させる方向に舵をきりました。そんな中、日本だけがかけ離れた政策を取ることができるとは思えないので、屋内でのマスク着用は推奨しつつ、重症者・死者が出て医療がひっ迫しても行動制限はかけない、という状況は続くでしょう。

しかし、この研究の結果もあり、高齢者ほどワクチンを打っていたとしても新型コロナは脅威ですし、蔓延するほどワクチン接種率が低い子供の重症者・死者も出てしまいます。また、どの年代であっても、コロナ後遺症のリスクはありますし、何年もかけて繰り返し感染した場合にどういった影響が出るかはまだ分かりません。脳への持続感染が確認されたという研究もあるので、とくに成長途中の子供に感染させるのはリスクが高すぎるように感じます。

ですが、世界的な流れとして感染を許容する方向にあり、これまで感染者・死者を少なく抑えてきた日本も、国際関係を考えればその流れに完全に逆行することが難しいのも事実でしょう。結局、感染したくなければ、限界はありますが個々人で気を付けるしかない、ということになってしまいますね。

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