NHKのサイトに、アメリカ政府で新型コロナの感染対策を主導してきたアンソニー・ファウチ博士のインタビュー記事が掲載されています。新型コロナに関して、世界中の専門家が同意するであろう内容が、非常に分かりやすくまとまっています。
新型コロナ対策 マスクは?ワクチンは? 米ファウチ博士に聞く | NHK
アメリカ政府で新型コロナの感染対策を主導してきた、アンソニー・ファウチ博士。世界の現状と将来について、そして日本の感染対策について聞きました。
記事の主なポイントは以下の通りです。最新の状況、日本で新型コロナ死者が少ない理由、今後の見通し、後遺症についてなど、とても分かりやすくまとまっています。内容も、多くの専門家・医師の先生方が同意するものとなっているように思われます。
- アメリカでは依然として感染者が多く、今も1日あたり約400人がCOVID-19で死亡している。良くなってはいるが、まだ受け入れがたいレベル。私たちはまだパンデミックのまっただ中にいる。
- ワクチンを受けていない人だけでなく、受けた人にも最新の追加接種を受けてもらうよう努力することが、状況を緩和するために重要。
- 「XBB.1.5」が免疫を免れる性質が強いことは間違いない。ワクチンで得られる抗体だけでなく、感染によってできる抗体でも、「XBB.1.5」からそれほどうまく保護してくれない。一方、「XBB.1.5」により重症化する人の割合が、デルタ株の場合より低いことは比較的安心できる材料。
- 問題は、「XBB.1.5」に置き換わる次の変異ウイルスが、より免疫をすり抜ける性質が強かったり、より重い症状を惹き起こしたりするかということ。「免疫学的な監視」を継続し、状況を追い続けていくことが重要。
- 「ゼロコロナ」政策を終了した中国での感染爆発を懸念している。すでに起きていると思う。
- 感染対策がうまくいった国もあれば、そうでない国もある。アメリカでは新型コロナによる死者が100万人を超えており、これはどの国よりもひどい。対人口で死者数をみると、日本は非常にうまくいっている。日本で感染の拡大を防いだのは、マスク着用をしっかり守ったことと、「3密の回避」。
- 年に一度ワクチンを接種してもらう目的なら、日本で新型コロナを季節性インフルエンザと同じ分類にする戦略は有効。ただし、新しい変異ウイルスが広がった場合に1年を待たずに接種を行うといった、柔軟な対応が必要。
- 日本でも、感染者の割合が低いうちはマスクをつけるかは自分で判断すればいいと思う。割合が上がってきたら、マスク着用を推奨するべき。
- 後遺症が発生する根本的なしくみは分かっていないが、実際に起きている。ワクチンを接種すれば後遺症になるリスクが低くなることも分かっている。しくみを理解するには、さらなる研究が必要。
- 新型コロナ対策として最も重要なのは、できるだけ多くの人に最新のワクチンを接種してもらうこと。そして、感染者の割合が上昇した時には、人が集まる状況ではマスク着用を推奨することも必要。
やはり、ファウチ博士も他の国に比べて日本で人口に対する新型コロナ死者数が低い要因は、「マスク着用」と「3密の回避」だと考えておられるとのこと。日本と他国が行っていることと比較すれば、この2つの効果が相当あったとしか考えられないでしょう。現在、マスク着用・3密の回避の推奨を見直す動きもありますが、急にやめてしまえば感染者が急増しそうです。感染対策を緩和するにしても、医療のひっ迫度合いをみながら、少しずつ行うべきでしょう。
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