11月30日に開かれた厚生労働省の「第108回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」で、国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長より「献血時の検査用検体の残余血液を用いた新型コロナウイルスの抗体保有率実態調査」が提出されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001018624.pdf
その内容によると、11月6~13日の献血者の血液を調査した結果、新型コロナウイルスに感染したことがある人の血液にのみ含まれる「抗N抗体」の保有率は26.5%だったとのこと。
各地域の保有率は以下の画像の通り。
多数の新型コロナ感染者が出た沖縄が46.6%、大阪が40.7%と、高い値となっています。一方、9.0%の長野など低い地域もあり、地域により感染経験のある人の割合に大きな差があることがうかがえます。
なお、アメリカやイギリスなど、すでにコロナが蔓延して多数の死者を出した国では、90%を超える人が抗体を保有しているとされています。以下のサイトでは、アメリカの抗体保有率の推定値を見ることができます。
他の主要国に比べ、日本において抗体保有率がこれほど低いのは、やはり高いワクチン接種率、マスクの着用率、その他、3密の回避などの感染対策が広く行われていることが要因でしょう。しかし逆に言えば、油断すれば多くの感染者が発生し、死者が出ることを意味します。ワクチン接種により抑えられるとは思いますが、アメリカなどと比べて高齢化率が極めて高い日本で新型コロナが蔓延すれば、相当の死者が出るでしょう。経済との兼ね合いも考え、どういった形で感染対策を続けつつ社会を動かしていくのか、慎重な政治的判断が必要だと思われます。急に屋内でもマスク不要とするなど拙速な緩和は行わず、感染状況を見つつ段階的な緩和を行うことが必要でしょう。
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